運用・監視 レッスン5

インシデント対応

障害発生時の検知・初動対応・エスカレーションなど、インシデント対応の基本的な流れを学ぶ

インシデント対応の流れ

インシデント対応は、思いつきで動くのではなく一定の流れに沿って進めることで、 混乱した状況でも冷静に対処できます。

1. 検知

アラートやユーザー報告により異常を把握する

2. トリアージ(重大度判定)

影響範囲とビジネスへの影響度から、対応の緊急度を判定する

3. 初動対応(影響の緩和)

ロールバックやフィーチャーフラグ無効化など、まず影響を止める

4. エスカレーション

必要な専門知識を持つ担当者やステークホルダーへ連絡する

5. 収束・復旧確認

指標が正常範囲に戻ったことを確認し、インシデントの終息を宣言する

6. 事後対応

ポストモーテムを実施し、再発防止策を計画する

まず影響を止める: 緩和優先の原則

障害対応で陥りやすい罠は、根本原因を完全に理解するまで対応を保留してしまうことです。 ユーザーへの影響が続いている間は、原因の完全な特定よりも影響を止めることを優先します。

# 即応できる緩和策の例
- 直前のデプロイが疑わしい → まずロールバックする
- 特定の新機能が原因と疑われる → フィーチャーフラグで無効化する
- 特定の外部依存先が不調 → サーキットブレーカーで切り離し、縮退運転に切り替える
- 特定エンドポイントへの過剰な負荷 → レート制限を一時的に強化する

根本原因の追求はその後で

影響を止めてユーザーへの被害が収まった後、落ち着いてログやトレースを調査し、 根本原因を特定してから恒久対応を行います。急いで根本対応まで一気に行おうとすると、 さらなる不具合を生むリスクが高まります。

役割分担: インシデントコマンダー制

大規模な障害では、複数人が同時に調査・対応にあたることで混乱が生じがちです。インシデントコマンダーを1人立て、 全体の状況把握・意思決定・コミュニケーションの調整役に専念させることで、 他のメンバーは調査や修正作業に集中できます。

  • インシデントコマンダー: 状況の統括、意思決定、対応の優先順位付け
  • 調査担当: ログ・メトリクス・トレースを見て原因を切り分ける
  • コミュニケーション担当: ステータスページの更新や社内外への状況共有を行う

エスカレーションとコミュニケーション

対応中は、社内の関係者やサポートチームに向けて定期的に状況を共有します。 「まだ調査中」であっても沈黙するのではなく、「何がわかっていて、何がわかっていないか」 「次にいつ更新するか」を明示することで、問い合わせの集中や不安の増大を防げます。 外部向けのステータスページがある場合は、そこにも同様の情報を反映します。

ポイント

  • 検知→トリアージ→初動対応→エスカレーション→収束→事後対応の流れを意識する
  • 根本原因の完全な特定より先に、影響を止める緩和策(ロールバック等)を優先する
  • インシデントコマンダー制で役割を分担し、混乱を防ぐ
  • 調査中でも定期的な状況共有を行い、関係者の不安や問い合わせ集中を防ぐ

確認クイズ

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直前のデプロイが原因と疑われる障害が発生した際、最初に取るべき対応はどれか?